雪降る夜に教えてよ。
本当にどうかしてる。
どうかしてるとしか思えない。
以前の私なら、あんな中で歩き回ったりしなかった。
体温計を取り出して、とりあえず熱を測って、それから三八度五分の表示に溜め息がでた。
恋い慕うなんて柄じゃない。
何もかもが煩わしい。ただそれだけ。
ねぇ、母さん。母さんも同じだった?
煩わしくて、どうでもよくて。ただ恋しさだけは心に残る。
ソファに埋もれるようにもたれかかりクッションを抱え込んでいたら、家の固定電話が鳴った。
重い身体を動かして子機を取る。
「もしもし?」
『さなちゃん?』
佳奈? 固定電話に電話なんて珍しい。
「どうしたの?」
『いやぁ。ちょっと。元気かなぁと思って』
「……大丈夫だよ?」
まぁちょっと、風邪をひいてしまったのかもしれないけれどね。
『声が変だよぅ? どうした? 疲れてるのか?』
うん。いろいろと疲れたなぁ。
喉は痛くないけれど、ちょっと鼻声になっているのかな?
「そんなことないよ?」
『桐生さんと何かあったでしょう』
いろんなことがあったな。
あり過ぎて……どうすればいいんだろう?
『さなちゃん? 聞こえてる?』
聞こえてはいる。
……いるけれど、何かあったかと聞かれても、どう話せばいいのかわからない。
「……佳奈。高校の時は楽しかったね」
『え? あ。うん。いろんなことがあったねぇ?』
急に話を変えると、電話の向こうの佳奈が戸惑ったような気がした。
「あんたはいつも恋してたよね」
『それでいつも大泣きしてたよねぇ』
「……うん。泣いてたね」
『……さなちゃんは、最近ちゃんと泣けてる?』
どうだろう? 泣けている?
自問自答しても答えは知らない。
「涙はでてこないな」
『悲しいときは泣くもんなんだよぅ?』
泣けるときには泣け。
それはどこかで誰かに言われたような言葉な気がする。
気がするだけで、誰が言ったのかは思い出せない。
「うん。わかってる」
『本当に?』
「頭では……わかっているのかな。でも、心が追い付いてこないんだ。いつもと一緒だよ」
『いつもとは違うでしょ』
そうかもしれない。きっとそうなんだと思う。
どうかしてるとしか思えない。
以前の私なら、あんな中で歩き回ったりしなかった。
体温計を取り出して、とりあえず熱を測って、それから三八度五分の表示に溜め息がでた。
恋い慕うなんて柄じゃない。
何もかもが煩わしい。ただそれだけ。
ねぇ、母さん。母さんも同じだった?
煩わしくて、どうでもよくて。ただ恋しさだけは心に残る。
ソファに埋もれるようにもたれかかりクッションを抱え込んでいたら、家の固定電話が鳴った。
重い身体を動かして子機を取る。
「もしもし?」
『さなちゃん?』
佳奈? 固定電話に電話なんて珍しい。
「どうしたの?」
『いやぁ。ちょっと。元気かなぁと思って』
「……大丈夫だよ?」
まぁちょっと、風邪をひいてしまったのかもしれないけれどね。
『声が変だよぅ? どうした? 疲れてるのか?』
うん。いろいろと疲れたなぁ。
喉は痛くないけれど、ちょっと鼻声になっているのかな?
「そんなことないよ?」
『桐生さんと何かあったでしょう』
いろんなことがあったな。
あり過ぎて……どうすればいいんだろう?
『さなちゃん? 聞こえてる?』
聞こえてはいる。
……いるけれど、何かあったかと聞かれても、どう話せばいいのかわからない。
「……佳奈。高校の時は楽しかったね」
『え? あ。うん。いろんなことがあったねぇ?』
急に話を変えると、電話の向こうの佳奈が戸惑ったような気がした。
「あんたはいつも恋してたよね」
『それでいつも大泣きしてたよねぇ』
「……うん。泣いてたね」
『……さなちゃんは、最近ちゃんと泣けてる?』
どうだろう? 泣けている?
自問自答しても答えは知らない。
「涙はでてこないな」
『悲しいときは泣くもんなんだよぅ?』
泣けるときには泣け。
それはどこかで誰かに言われたような言葉な気がする。
気がするだけで、誰が言ったのかは思い出せない。
「うん。わかってる」
『本当に?』
「頭では……わかっているのかな。でも、心が追い付いてこないんだ。いつもと一緒だよ」
『いつもとは違うでしょ』
そうかもしれない。きっとそうなんだと思う。