雪降る夜に教えてよ。
「事故みたいだ」

見ると、数台のパトカーと救急車。
誘導灯を持つ警察の奥には何台かの大破した車の残骸。

「けっこう大きい事故ですね」

「……よし」

よし?

「ドライブしよう」

そう言って、脇道に車を走らせる桐生さんに、私は目を丸くする。

「あ、あの?」

「眠い?」

「いえ、別にそうじゃなくてですね」

「じゃ、いいじゃん? 日本に帰って来てから、あまり走らせてないんだ。付き合ってよ」

いつあなたが日本に帰ってきたかなんて、私には興味はないし、関係ないのだけれど。

「なんて強引な……」

「あれ。気付かなかった?」

小さな呟きに返事を返されて、ギクッとする。

「だってさ。酒に酔ってないと秋元さん素直じゃなさそいだし。どうせなら、素直な人とドライブしたいじゃない?」

さっきの『なるほど』ってのは、そういう意味ですか?

「ドライブなら土橋さんたちを誘えばいいんです。素直に誘われてくれますよ」

「や。あの人たちだと、俺が疲れる」

はい?

「いい車ですね~とか、いいスーツですね~とかさ。金勘定でしょ、あの人たち」

うっわ。辛辣。爽やかな笑顔で吐き出す言葉じゃないと思うんだけど。

「もっと素直に“貴方のお金とお付き合いしたいんです”って言ってきたなら、俺もお答しようがあるのに」

「……世の中荒んでいても、そんなことは言わないでしょうよ」

「かと言って君みたく、間違ってもお近づきになりたくないんですってオーラがある人も珍しいけど」

その言葉に、またギクッとして窓の外を見た。

「すごい嫌われようだよね。何かしたかな?」

何もしていませんよ。特に桐生さんだから、そうしているって訳ではないんです。

「でも、邪険にされているのは俺だけじゃないみたいだけどね」

「別に邪険にしている訳ではありません」

「そうだね。構ってない、て言うのが正解かな?」

そう言って、ハンドルを切る。
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