Sweetie Sweetie Sweetie
そうして、訪れた店で、
リンの話を、聞いていた。
「世の中にはさ、ミィちゃんみたいな十代の女の子が大好きな男の人がいるんだよ。その中の一人がね、一晩一緒にすごしてくれるなら、十五万、出してもいいって言ってる」
ただ、聞いていた。
「べつに強制じゃないよ? 他に払う方法があるなら、そっちでもいいし。ただ、こういう方法もあるよって提案……ミィちゃん、どうする?」
そして、そうする、だろうと思っていた。
そうする、ことを、リンが望んでいて、
そうする、ことで、リンと繋がっていられるなら、
それでいい、と、思っていた。
むしろ、それで、リンとの繋がりが、より確かなものになるのなら、本望、と、思っていた。
私が、何より、怖れていたのは、
リンに、切られてしまう、
ということ、だから。
「リン……」
これまでのリンとの時間を、覚めたら終わる夢にしたくなかった。
「私……」
覚めない、夢は、終わらない。
「……受けるよ、その提案」
そうして、繋がっていられるのなら……
★★★★★
その翌日。
学校では、一学期の終業式が行われていた。
式が終わり、講堂を出ようとした時、友達が駆け寄ってきた。
「ミィ、今年の夏休みもお父さんのとこに行くの? 旅行みたいで楽しそうだね」
「そうだね……」
「私は今年もライブ三昧かなぁ」
「そうなんだ……」
ずっと、一緒にすごしてきた、友達なのに、
今は、他人のように見えていた。
“私は、これから、夜の世界に飛びこんでいく……”
そう思うほど、
「……眩しいな」
ずっと、当たり前のようにあった、昼の景色さえも、
今は、もう、
どこか彼方のように感じていた……
★★★★★