Sweetie Sweetie Sweetie





“おシゴト”は、上手くできたようだった。





報酬は、客からリンへ渡り、





「ミィちゃん、よく頑張ったね。お客さん、大満足だったみたいで、報酬はずんでもらったよ。これで、未収はチャラ。でも、それだけじゃ、ミィちゃんが可哀想だから、はい、これ……」





そして、リンから私に、二枚の一万円札。





二万円……





二人の始まりの数字、それを、意識したのか、偶然だったのか、わからないけれど、



リンのことだから、意識したのだろう、と思った。



そう思った方が幸せだから、そう思うことにした。





リンは、その後、あの言葉の通り、私を綺麗にしてくれた。



本当は、“おシゴト”の最中の、生々しい、恐怖感も嫌悪感も悲壮感も、何一つ、忘れていなかったけれど、



リンが、綺麗にしてくれたから、忘れたことにした。



そうした方が楽だから、そう、忘れたことにした。







★★★★★







そして、八月。





平穏な夏休みを過ごしていた。





リンの店には、行っていなかった。



理由は、ただ、何となく。





また、今年は、父親のところへも行かなかった。



理由は、こちらも、何となく。





それは、



これまで駆けてきた、めまぐるしい日々に、



どこか、罰の悪さを感じていたからだろうか。



それとも、



ただ、疲れていただけだろうか。







いずれにしろ、平穏な夏休み。







手持ち無沙汰に学校の宿題をこなしていた時、





リンから、着信があった。





『元気?』



「うん」



『何してたの?』



「宿題……」



『そっか、宿題か、懐かしいな。そうだよね、ミィちゃん、高校生だもんね』



「うん……」



『ねぇ、八日って、あいてる?』



「うん、夏休みだから、どうして?」



『どうして……って、ミィちゃん、誕生日でしょ』



「ああ、そっか」



『一緒にお祝いしようよ』







ついさっきまで、平穏な夏休みだと思っていたのに、







また、めまぐるしく動きだす、







そんな予感がした。







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