Sweetie Sweetie Sweetie
“一緒にお祝いしようよ”
その言葉の次には、店に呼ばれるものと思っていたのに、
リンが指定した、時間は、営業後の午前二時で、場所も、店や街からは離れたところだった。
つまり、プライベート。
動揺と期待を抱きながら、
迎えた、八月八日。
時計が二時を回る頃、約束の場所に着くと、
リンが、待っていてくれた。
「タクシーで来たんだね」
「うん、こっちの方は土地勘ないし、時間が時間だし……」
「ごめんね、こんな時間で。でも、こんな時間しか都合つかなくてさ」
リンは、忙しい。
今だって、本来なら、ミーティングにアフターと、まだまだ、走り回っている時間なのだ。
それなのに、
私のところへ来てくれた、
私を優先してくれた、
そう思うたび、
「大丈夫。嬉しいよ、会えて、嬉しい」
胸が高鳴った。
「それなら、よかった。けど、深夜に出歩いて、おウチの人は何も言わないの?」
「今、家、誰もいないから」
「そうなんだ」
「うち、お父さんが単身赴任してて、今は、お母さんもあっちに行ってるから」
「ミィちゃんの誕生日なのに?」
「行かないって言ったの、私だから」
「寂しくないの?」
「寂しいわけないよ、リンがいるんだから」
そう、
店に呼ばれるものと思っていたのに、
二人きりですごせるなんて、
「じゃあ、誘ってよかった。今日は、俺と……」
“一緒にお祝いしようよ”
「うん」
最高の誕生日だ。
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