Sweetie Sweetie Sweetie
「ミィちゃん、十八歳だね」
リンが、まるで確かめるように、そう言ったのは、
リンのベッドで、一つになった後だった。
「うん。今日から、十八歳だよ」
そして、そのベッドの中で、
リンは、話を始めた。
「実は、この前“おシゴト”した相手の人が、リピートしたいって言ってる。よっぽど、ミィちゃんのことが気に入ったんだね」
「そうなんだ……」
私は、すっと、目が覚めていくのを感じていた。
「でね、世の中には、その人以外にも、十代の女の子が大好きな人はいて、ミィちゃんに会いたい人が、まだまだ、たくさんいると思うんだ……だから、本格的な“おシゴト”するのもいいんじゃないかなって」
「……本格的?」
リンであって、リンでないようだなんて、錯覚。
「うん、派遣型の……所謂、デリヘルってやつだよ。お店に在籍してさ“おシゴト”するの。ミィちゃん、十八歳になったし、高校生だけど……黙ってれば何とかなる店、知ってるから」
「でも……」
素顔だと思ったものだって、ただの、一面。
「ミィちゃん、貯金、全部遣っちゃったこと、どうするつもりなの? 遣っちゃった……って一言だけで、許してもらえるおウチなの?」
「……多分、無理」
リンは、どこまでも、ホストで、
「じゃあ、貯めなおさなきゃ。大丈夫、ミィちゃんなら、百万くらい、一、二ヶ月で稼げるよ……それに、ミィちゃんに自由になるお金ができれば、また会えるようになるし……」
「リン……」
誕生日でも、こんな話をする、
「ミィちゃんがいない卓なんて、寂しいだけ」
「ごめん……」
夜の人間、なのだ。
「また頑張ろうよ、俺も頑張るからさ」
「……うん」
それでも、好き、だという想いは変わらずに、
リンとの繋がりを願うことは、
リンの隣を望むことは、
夜とともに生きる、ということなのだと思った。
「俺、あんまり寝てないから、このまま寝ていい?」
「いいよ……」
そうして、隣から、規則正しい寝息が聞こえる頃、
私は、ぽつり、ぽつり、と、呟いた。
「……そういえば、初めての店外……それから、初めてのプレゼント……」
いつしか、ふわふわと浮かれていた気持ちも、冷めて、
それでも、
好き、だという想いだけは、
変わらないまま、
「おやすみ、リン」
リンと、微かな覚悟と、
ともに眠った、
誕生日……
★★★★★