めぐり逢えたのに
「ありがとうございます! 実は……、指名をもらったの、初めてなんです。」

「そう、おめでとう。じゃ、乾杯だね。」

まあ、せっかくだから、と佐々倉はボトルを入れ、お祝いをした。

ずいぶんと太っ腹な客である。新人のくせに、どんな手を使ってモノにしたのかしらとかなりやっかまれた、というのは、佐々倉がずっと後になって、しおりから聞いたはなしであった。

それにしても綺麗な娘だな……、大きな黒い瞳とぷるんと形良く盛り上がった唇が人の目を引く顔だった。
佐々倉より十以上も年下の美しい娘が、必死になって気に入られようとしている一途さに、駆け引きよりも切なさを感じてしまって、店を後にした時には、何とも言えない後味の悪さがあったのを憶えている。

それからしばらく、佐々倉の仕事が忙しく、バタバタしていたので、キャバクラどころではなく、ほっと一息つけたのは二ヶ月後ぐらいだっただろうか。何度となく(営業)メールが来ていたので、一度行ってあげなきゃ可哀想だな〜、なんて思いつつ、そのままうっちゃっていた。

久しぶりに覗いてみると、あみちゃんは、なんとか慣れてきたのか、にっこりと笑う笑顔にもぎこちなさが大分取れていた。



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