めぐり逢えたのに
真夜中の一時過ぎ、私は、自分の部屋の中でiPhoneの黒い画面をじっと見つめていた。
小野寺拓也というのが、彼の名まえらしかった。私は、男から聞いた小野寺拓也の連絡先をさっそくケータイのアドレスに入れたが、あれから十日以上経つのにまだ一度も電話をしていなかった。
しょせん私はただの女子高生だ。
いざとなったら、怖くて怖くて電話をする勇気なんかなかった。彼は、もちろん私の連絡先など知らない。十日以上たった今、私のことなどさっぱり忘れているかもしれなかった。
私はアドレスの彼のページを出すだけで、心臓がドキドキした。小野寺拓也という文字を見てるだけで気がおかしくなりそうなほど緊張した。だから、さっきから黒い画面を見つめてるばかりなのだ。
思い切って電話をかけてみよう、と思ってアドレスで彼のページを出したその時、いきなりママが私の部屋に入ってきた。
「まだ起きてるの?そろそろ寝た方がいいわよ」
焦った私は、うっかりスクリーンをタッチして発信してしまった。
「あ、う、うん。今、寝るとこ」
それだけ言うと、慌ててママを部屋から追い出してドアに鍵をかけた。電話はまだ相手を呼んでいる。
電話を切ろうとした瞬間、ケータイの向こうから「もしもし」という声が聞こえた。
間違いない。彼の声だ。
私は、また雷に打たれた。
小野寺拓也というのが、彼の名まえらしかった。私は、男から聞いた小野寺拓也の連絡先をさっそくケータイのアドレスに入れたが、あれから十日以上経つのにまだ一度も電話をしていなかった。
しょせん私はただの女子高生だ。
いざとなったら、怖くて怖くて電話をする勇気なんかなかった。彼は、もちろん私の連絡先など知らない。十日以上たった今、私のことなどさっぱり忘れているかもしれなかった。
私はアドレスの彼のページを出すだけで、心臓がドキドキした。小野寺拓也という文字を見てるだけで気がおかしくなりそうなほど緊張した。だから、さっきから黒い画面を見つめてるばかりなのだ。
思い切って電話をかけてみよう、と思ってアドレスで彼のページを出したその時、いきなりママが私の部屋に入ってきた。
「まだ起きてるの?そろそろ寝た方がいいわよ」
焦った私は、うっかりスクリーンをタッチして発信してしまった。
「あ、う、うん。今、寝るとこ」
それだけ言うと、慌ててママを部屋から追い出してドアに鍵をかけた。電話はまだ相手を呼んでいる。
電話を切ろうとした瞬間、ケータイの向こうから「もしもし」という声が聞こえた。
間違いない。彼の声だ。
私は、また雷に打たれた。