めぐり逢えたのに
「お茶、飲む?それともビールの方がいい?」
「え、ビールって私、まだ高校生だよ。」
「最近のJKは酒なんかガンガン飲むんじゃね?」
「私は、そういうのはしない。」
「へー、何で。」
「だって、パパとママが絶対ダメだって言うから。」
「……パパとママね。」

ほとほと呆れたような声だった。

私は、自分の世間知らずな間抜けさに嫌気がさしてきた。また、解答を間違えたらしい。

「……あの、飲んでみようかな。」

私はごくりとつばを飲んだ。ドキドキする。彼は私をちらりと一瞥した。

「無理するなよ、声が震えてるよ。」

そう言って、ちゃぶ台の上にペットボトルから注いだお茶と、缶ビールを置いた。

彼は、缶ビールのふたをプシューと開けて、テレビのスイッチを入れた。彼はしばらくチャンネルをがちゃがちゃ変えていたが、どの番組にも興味がわかなかったらしく、DVDを見始めた。
それは古いフランス映画で、私には何が面白いのかさっぱりわからなかったけど、彼は画面を食い入るようにみていた。

悲しいことに、彼は私を見向きもせずテレビに夢中だったので、私は彼の横顔を飽きる事なく眺めていた。すっと通った鼻筋と綺麗なあごのライン、それに涼しげな目元も惚れ惚れするほどだった。
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