めぐり逢えたのに
もうそろそろ戻った方がいいんじゃない、って言おうとした時、玄関の方でかちゃかちゃ言う音が聞こえた。

えっ?!マスコミの人が無理やり入ってくる!?

私が怯えるのがわかったのか、佐々倉が私を見て、口に指を当てると、忍び足ですっと玄関の方へ近づいて行った。


ドアを開けて中へ入って来たのは―—、拓也だった。

部屋に入って来るなり、佐々倉に遭遇した拓也は、私が何かする間もなく、佐々倉の腹部に強烈なパンチを喰らわしていた。

「人の弱みにつけこんで!汚いマネしやがって!!」
「お前がしっかり守らないからだろッ!」

今度は佐々倉が拓也の胸ぐらを掴んだ。

「自分こそ、振られたからって人の女に手をだすな!」

つかみ合いのケンカが始まった。

「ちょ、ちょ、ちょっとっ?! こんな狭いところでケンカしないで!怪我するよ!」

あたふたと慌てふためいた私は、なんだかずいぶんとトンチンカンな反応をしていた。二人とも興奮してしまって、全く手が付けられない。

「もうっ!」

私はお鍋一杯の水をキッチンから持って来て、二人の頭にざあーっと水をかけた。

「ちゃんと、そこ、拭いといてよね。」

私は二人に言い残して、さっさと寝室へ行った。



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