めぐり逢えたのに
うちに帰るとパパとママが私を待ち構えていた。二人はリビングのソファに並んで座り、コーヒーテーブルを挟んで反対側のチェアに私は座らされていた。

「万里花、どこで何をしていたのか説明してちょうだい。」

ママが厳かに口を開いた。私はびくびくしながら、本当のことを言うべきか、ごまかすべきか、どっちの方が罰が軽いだろうか、など素早く計算していた。
本当のことを言えば、もう彼とは会えなくなるかもしれない。

私はポケットに入った鍵をぎゅっと握りしめた。

「え……と、一人で街をぶらぶらしていた。」
「街ってどの街。」
「………よ、横浜。」

言った後、しまったと思った。私は横浜の街に全く不案内だ。
追求されたらボロが出てしまうに違いない。案の定、ママの追求は厳しかった。

「横浜のどの辺。」
「え……と、駅の近く。」
「何時から何時までそこにいたの。」
「7時ぐらいから9時ぐらいまで……」
「どうして、横浜に行ったの。」
「え……、どうしてもチェックしたいバッグがあって…」
「チェックしたいバッグはどこにあるなんという店?」
 
ママの追求をかわすことができるか私には自信がなかった。私が返答に窮してママはしばらく黙り込んだ。

「ずっと一人だったの?」
「うん。」
「危ないことはなかった?」
「うん。」
「あなたが横浜にいたことを証明できるもの何かある?」

ない。何もない。だって、私は横浜になんか行かなかったし。

「お店とかに入ってないからない。」
「カフェとかコンビニも?」
「カフェなんて一人じゃ入らないよ。」

これは本当だ。

「駅で何か買ったりしなかったの?」
「自販機でジュース買っただけ。」
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