めぐり逢えたのに
週末はこっそり家を抜け出せるかな、とほのかに期待したけど、土曜日にはパパが私をゴルフに連れて行ったし、次の日はママはお芝居のチケットを用意してくれてたから、全然そんなひまはなかった。

日曜日、劇場の席に腰をおとした時、ゴルフの疲れが残っていたらしく、私はウトウトしてしまった。
「もうすぐ始まるわよ。」
ママのささやき声ではっと目をさますと、幕が開いてお芝居が始まる。

ママはわりと観劇が好きで、あちこち行ってるみたいだったけど、私はあんまり興味がない。
時々チケットが余ったとか言って私を連れ出してくれる事があったので、今回もそうやって手に入れたんだろうとぼんやり思っていた。すごく疲れていたし、話も小難しい上に登場人物もわさわさといたから、はなっからちゃんと見るつもりもなく、私はふわぁなんて大あくびをして舞台に目をやった。


そしたら、舞台のはじっこのほうにちょこんと立っている彼の姿が目に入って来た。
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