めぐり逢えたのに
私は、佐々倉が運転席から降りて、車のドアを開けてくれるのを待ったが、そんな気の効いたことをしそうもなかったので、自分でさっさとドアを開けて乗り込んだ。

何しろ外は寒い。

「あなたね、いつまでこの車に乗ってるつもり?さっさと売りなさいよ。パパにバレたら大目玉よ。」

「おじさんなら、もう知ってるよ。っていうか、二人でこの車でドライブに行ったことあるしさ。この車見て、いい車だなぁーって羨ましそうにしてた。夜中に高速走るのには最高だよ。」

すました顔をする佐々倉に、私は心底呆れた。

こんな、戸川に愛情のかけらも持ってないヤツと結婚して、会社にきてもらっていいのか。私がますます憮然とした顔をすると、佐々倉は笑いだした。

「大丈夫ですよ、結婚する時には、戸川の車を買いますから。車も新しく、女も新しく、ってとこですかね。」

もちろん、私は佐々倉の言葉を聞き逃しはしなかった。

「女も新しく?」
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