めぐり逢えたのに
「そう、そのことを相談したくて、今日はあなたを誘ったんです。」

私はどんな相談を受けるんだ?

佐々倉が連れて行ってくれた店は、少し外れたところにある気楽なイタリアンだった。
気のいいおっちゃんとおばちゃんがやってそうな店で、クリスマス前の金曜日の夜だというのに、カップルのお客は一組もなく、あろうことか、二テーブルほど空いていた。
もちろん、予約などとは無縁の店のようであった。私は、佐々倉の私に対する扱いを改めて認識させられて、非常に面白くなかった。
やっぱりこの結婚は私にとって痛恨のミスとなるんじゃないだろうか。

佐々倉と私がテーブルにつくと、佐々倉はワインリストを眺めた。

「ワインぐらい飲むでしょう?」
「はい、飲ませて頂きます。」

私の返事を聞いて、佐々倉はボトルを頼んだ。
一本飲んでしまって大丈夫なのか?

「車、どうするの?運転できないでしょう?」
「置いてっちゃいますか。どっちみち新しいのを買わなきゃいけないし。」
「女も置いてくつもりなんだ?」

軽い気持ちで冗談を言ったつもりだった。

「それ、それなんですよ。置き去りにするのも僕としては忍びなくて、連れてっていいですかね?」 
「女?それとも車?」
「女。」

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