【改訂版】ワケあり上司とヒミツの共有
ハナちゃんからスコーンの作り方を教えてもらってから数日。私は悩んでいた。

別に、「どうしたの?何か悩み?」と声をかけて欲しくてあからさまに悩んでいる訳じゃない。でも多分、周りの人達は、「コイツ『どうしたの?』と声をかけて貰えるのを待ってやがる」と思っているに違いない。

それ位、私は悩んでいた。

「どったの??」

そこに、声をかけてくれる勇者が現れた。同僚、『咲希子』である。

「ありがとう。勇者よ……」

「は??」

「あ…ごめんごめん、なんでもない」

私はコホン、と咳払いをし、勇者に相談してみる事にした。

「もうすぐ、雪ちゃんの誕生日だなぁ、って……」

「ああ、そうだったね。えっと……あ、丁度土曜日じゃない。休みだし、なんかすんの?」

咲希子がカレンダーを指さした。

「……それを悩んでる」

そうなのだ。今週の土曜日は、雪ちゃんの35回目のバースデー。

『社内人気ダントツNo.1』

である雪ちゃんのバースデーを、社内の人間(特に女子社員)で、知らない人はいない。もちろん、私も咲希子も、例に漏れず。

ただ、色んな事があり過ぎて、もうバースデーが間近に迫っていた事に気が付かなかったのだ。
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