初恋を君に

「やっぱりね…焦るなって言ったのに。馬鹿なヤツ。」


「えっ?」


「ううん。こっちの話。それで今日は佐山くんとランチだったんでしょ?どうだった?」


「思いの外、楽しかったのよ。」


「あら?じゃあ、上条とどっちが楽しかった?」


さやかが意味ありげに笑う。


「佐山くんと上条とは楽しさの意味合いというか…感覚が違うのかな。」


「例えば?」


「佐山くんは会社の後輩として楽しかった。上条は…気兼ねなく安心出来て、それでいて楽しいかな。でもそれって同期だからだと思う。付き合い長いし…」


「本当に同期ってだからだけ?」


ワインを飲みながら、さやかをじっと見つめる。


「初めはそうだった。同期だから楽しいって思ってた。でも2人で過ごす時間が多くなって…楽だし一緒にいるのが安心するし、好きだなぁって…」


「ふーん。なるほどねー。それで?」


「何回か…私達って付き合ってるの?って聞こうとしたけど、恋愛が死ぬほど面倒くさいって言ってる上条に聞くのもなんか…私の勘違いだったら恥ずかしいし、それに…」


この先を続けたら呆れられてしまうかもしれない。そう思い戸惑っていると、さやかに目顔で続けてと促された。


「恋愛にほとほと疲れてしまって最後にしたいの。その相手に上条がなってくれるのか…自分も上条でいいのか…」


「ふーん。今回は慎重になってるのね。でもいつもの文は、この状況だったら絶対相手に聞いてると思う。私達の関係って?って…」


「そうだった?」


「そうよ。ほら入社2年目くらいの時にいい感じになった人がいたじゃない。その時は割とすぐに私達の関係ってなに?はっきりしてくれないならもう会えない。って言ってた。」


思い出した。確かに…
大学時代の友達の友達で何回かデートもした。泊まりがけで出掛けようという話になり、その時に関係について詰め寄ったのだ。結局ガールフレンドの1人であることがわかり、それからは連絡を一切とるのを辞めたのだ。




< 100 / 150 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop