初恋を君に
順調に仕事を終えて1度家に帰り、
泊まる準備をしてさやかの家から一番近い駅に向かう。さやかと駅で待ち合わせをしているのだ。
「さやか。お待たせ。」
「私も買い物してたから、大丈夫よ。」
さやかが買い物袋を軽く持ち上げて
笑って見せた。どうやらワインを買ったようだ。
さやかと丈が暮らすマンションは駅から5分ほどのところにある。
「今日は丈は?」
「同窓会で実家に帰ったわ。」
「そうなの?まぁ隣の県とはいえ電車で1本だもんね〜。しかし年末によくやるわね。」
そう言うとさやかは呆れた顔をした。
「同窓会って言っても仲の良いグループで集まっての飲み会らしいわ。仲間内で結婚する人がいるらしくて、お祝いというか冷やかし?」
「へぇー。でも次はさやかと丈の番なんじゃないの?」
恐らく丈は仲間内に自分も結婚することを伝えるだろう。そうしたら次は連れてこい、となるはずだ。そんな事を考えてニヤニヤしていると、さやかが大きなため息をした。
「やっぱり…そう思う?気が重いわ…」
「アハハッ仕方ないわよ。覚悟なさい。」
さやかは、そうよね…というとマンションのエントランスに進んでいった。
2人でエレベーターに乗り込み部屋に向かう。
鍵を開けながら、さやかが言った。
「私の話は終わり、今日は文の話をとことん聞くわよ。」
「りょーかい。」
順番にお風呂を済ませダイニングテーブルに向かい合わせで席に着く。
「さてと…それで?」
ワインを飲みながら、さやかが聞いてくる。
「早速ね…」
「当たり前よ。その為に来たんでしょ?で?上条と何があったの?ここ最近落ち込んでるけど、あいつ。」
「落ち込んでる?怒ってるじゃなくて?」
「うーん。どっちかっていうと凹んでるわね。」
そうなのか…
怒っているとばかり思っていたので、
落ち込んでると聞くと少しだけ申し訳ない気持ちになる。
「上条がどうせなんか文に言ったんでしょ?」
「えっ…なんで分かるのよ。」
驚きながらもミーティングルームでの出来事とそれから私が避けていることを
話した。