初恋を君に
「くみちゃん!しっかりして、ほら起きて!!くみちゃん!!」
「ふみさ〜〜ん。もう飲めませんよ〜。むりれすー。」
庶務・総務の忘年会後、私とくみちゃんはお誘いのあった開発課の忘年会にお邪魔していた。
忘年会2件目のせいか、はたまた
ほかの理由のせいか…くみちゃんがいい具合に出来上がってしまった。
「ほら、タクシー捕まえるからしっかりしなさい!」
はぁ〜い。と言いながら
くみちゃんは座り込んだ。
「おーい。菊池!!スマホ忘れてる!」
後ろから染谷課長の声がした。
「あっすみません…って!なんで通話中?」
「知ってる奴だったから、出といた~。」
「いやいや…普通に言わないでくださいよ。…もしもし?」
焦って相手も確認せずに、
スマホを耳に当てた。
『…ふみ?』
「えっ…上条?」
染谷課長がニヤニヤしながら、
こちらを見ていた。
『ごめん。電話出れなくて…企画も忘年会だったから。』
「そうだよね…でも今はちょっと…かけ直してもいい?」
菊池。タクシー捕まったぞ〜
染谷課長が声をかけてくれた。
『えっ…染谷課長と…?』
「はっ?何のこと?とりあえず切るね。家に着いたら、私からかける。ごめん。」
悪いと思いながら通話を切った。
「さてと、くみちゃん行くわよ。起きてー。」
座り込んだまま、半分寝てしまったくみちゃんの手を取り立たせようとした。
しかし立ち上がる気配はない。
すると染谷課長がくみちゃんの腕を肩にかけて腰を支えながらタクシーまで
運んでくれた。
「あっ…すみません。」
「これタクシー代。」
そう言って一万円札を出してきたが、
流石に多い上に商品開発部の忘年会の会費も出してもらっている。
「いやここからなら、そんなにかかりませんから。お気持ちだけ頂きます。」
「もう出してしまったのだから大人しく受取りなさい。運転手さん出して。」
タクシーから少し離れて
手を振る染谷課長。
運転手さんが大丈夫ですか?
と聞かれたので諦めて、お願いします。
と伝えて車を出してもらう。
「あんな男前の上司さんいいですなぁ」
「あはは。本当ですね。くみちゃん何かお礼でもしておきなさいよ。」
くみちゃんがビクッと肩を震わせた。