初恋を君に
くみちゃんはマフラーに顔を埋め、
うぅー。流石ですね…と
モゴモゴと呟いていた。
「…答えはくれます。ただ行動とあってない事多くて…少し困惑しているだけです。」
「ふーん。確かに…染谷課長って何考えてるか、わからないよね…」
「…はい。だから…答え合わせしなくても分かってる…文さんと上条さんは羨ましいです。」
思わず、くみちゃんを見つめる。
他の人から見たら、そんなにはっきりわかるものかしら…
駅直結のビルに入る。
ビルの8階に目的の中華粥のお店があるのだ。
席に着き、早速注文をする。
私は三鮮粥で、くみちゃんはまだお酒が残っていると言い、蜆粥を注文した。
「あのドレスウォッチなんですけど…」
「うん?」
「あの時計を文さんが初めて会社につけてきた日、上条さんが今まで見た事の無い表情をしたんですよ。」
お粥を口に運びながらくみちゃんを見る。
見た事の無い表情?
ドレスウォッチを褒めてくれたのは、
覚えているが…
「なんか…凄く面白くなさそうな顔をした後、自分がそんな顔をした事に驚いて、その後はなんだか考え込んでましたねー。」
「…ふーん。それどこで?」
「食堂です。3人でお昼ご飯を食べてドレスウォッチのことをキャーキャー騒いでて、その時です。」
さやかとくみちゃんにアレコレと
聞かれたことは覚えているし、
その月の同期会で上条が褒めてくれたのも覚えている。
面白くなさそうな顔ねぇ…
「それって私達がうるさかったからじゃなくて?」
「うーん…違うと思います。確か…その後、目が合ったんですよ。そうしたら
にっこり笑ってくれましたよ。それにあのくらいで顔歪めるほど嫌がる人じゃないじゃないですか…上条さんって。」
確かにね…
でもその表情が何を示すのか、さっぱりわからない。
「あれは今思うと嫉妬してたのかなぁって…」
「…えぇ!?上条が?」
まさか…そんなことあるはずない。
と驚くと、くみちゃんは少し呆れた顔を
した。
「文さん…確かに上条さん女性関係にだらしないです…だらしなかったですけど。1番はずっと文さんでしたよ。私の見ている限りでは…まぁ私は勝手にそう思っただけですけど。」
「…そうなの?」
「うぅー…文さんが自分から動き出すまで言わないつもりでしたけど、上条さんは周りが見てわかるほど文さん一筋でしたよ。特にこの間までお付き合いしていた彼と別れた後は!!」
あぁ〜言わないってさやかさんと約束してたのに…と、くみちゃんは頭抱えてしまった。
しかし…あの上条が?
信じられない。