初恋を君に

「文さ〜ん。きちんと話するって決めたんですよねー?」


「うっ…うん。」


そうだ。夜に会う約束をしているのだ…
なんだか急に気が重くなってきた。


「気持ちはわかりますよ。でも聞かなきゃモヤモヤする事は後に延ばしても変わらないですから!!」


確かに正論だ…
こんなモヤモヤ抱えたまま新年を迎えるのも嫌だし、何より上条とこのまま
気まずいのはもっと嫌だ。


「そうだね…ありがとう。」


「いいえ。まぁ他人の事ならなんとでも言えるんですけどね…自分の事だと、さっぱりで…」


そう言うと、くみちゃんは大きく息をついた。


「きっと、みんなそんなもんよ。」


「…うーん。そうですかね。とりあえず落ち着いたら私の話も聞いてください!!」


いつでも聞くのに〜と言うと、
文さんの事が落ち着かないと私も落ち着いてお話できないので!と言われてしまった。

時間が過ぎて解決すればいいと、
2人で嘆いていたのに…

結局、踏み出さないと
解決などありえなかった。

そして…今夜、
踏み出した結果を知る事となる。


「さて、そろそろ帰りましょう。お腹も満たされたし…」


「そうですね。私も帰ってもう一眠りします。明日は今年最後の観劇なので!」


相変わらずねぇ〜。と笑いながら席を立つ。
改札でくみちゃんを見送り自宅へ帰る。


上条からまだ連絡はないが、
「夕食を」と言っていたので
どちらにしてもまだ時間は早い。

そうだ…
あのカフェに寄ってから帰ろう。
カフェで年末年始の予定の整理をしよう。

中途半端な時間のせいか、
土曜日だがカフェは空いていた。


「いらっしゃいませ。お好きなお席へどうぞ。」


いつもいる可愛い店員さんに声をかけてくれた。

せっかくだから、
テラス側の席を選んだ。
今は冬なので閉じているが、
夏はガラス扉が開きテラス席が設置される。

夏になったらテラス席に座りたいなぁ…

何なことを考えていたら、
先ほどの店員さんがやってきた。


「ご注文はお決まりですか?」


「カフェラテお願いします。」


「はい。かしこまりました。あと…これどうぞ。この席すきま風が入って寒いので。」


そう言ってひざ掛けを差し出してくれた。


「…あっ。ありがとうございます。」


気遣いのできる店員さんだなぁ…

にっこりと微笑みカウンターの奥へ、
入って行った。そしてすぐにカフェラテを作り上げ、こちらに運んできてくれた。

< 112 / 150 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop