初恋を君に
「お待たせいたしました。カフェラテです。あとこちら試作品のクッキーもよかったどうぞ。感想も頂けると嬉しいです。」
カフェラテと一緒にクッキーを
私の前に置いてくれる。
「…ありがとうございます。」
「では…ごゆっくり。」
そう言って彼女は離れて行った。
本当に感じがいいなぁ…
ひざ掛けをかけ
カフェボールを両手で包み込む。
冷えていた指先が温まり落ち着いてゆく。
手帳を開き年末年始の休みを確認する。
あと10日すれば休みに入るのか…
いつから実家に帰ろうかな。
大掃除もしたいしなぁ。
手帳を眺めながらそんな事を考えていると、入口が勢いよく開く音がした。
「ママーッ!!きたよー。」
小さな男の子の声が響く。
走って向かったのはカウンターだった。
どうやらスタッフのお子さんらしい。
「たっくん。いらっしゃい。お店で大きな声出したらお客様がびっくりしちゃうでしょー。」
そう言いながらこちらに申し訳なさそうな顔を向けたのは、あの可愛いくて感じの良い店員さんだった。
どうやら彼女のお子さんらしい。
少し驚きながらも、笑顔を向けると
たっくんと呼ばれた男の子もこちらをみていた。手を振ると恥ずかしそうに手を振り返してきた。
可愛いなぁ〜。
でも一人出来たのかしら…
そんなふたりを見ていると、
また扉が開く音がした。
「しゅんちゃん、おそいよー。」
たっくんが呼んだ相手がカウンターに
歩み寄り2人を見ていた私の視界に
入ってきた。
「ごめんごめん。」
しゅんちゃんと呼ばれた男性が、
たっくんの頭を撫でながら席に着いた。
えっ…うそ…
後ろ姿だけでは断定できないけど…
あの声、そしてあの腕時計…
まさか…
「竣一朗…?」
田畑竣一朗…
あのドレスウォッチをプレゼントしてくれた元恋人。
なんでこんなところに…
先程まで、笑顔で2人を見ていた私が
急に驚いた顔になったのに気づいたのだろう。彼女は不思議そうな顔でこちらを見た。
それを見た竣一朗もこちらに振り向き、私が居ることに気づき目を大きく開いた。
彼女の方に向き直ると、
腕時計を触り何かを話している。
それを聞きながら頷き微笑んでいた。
話が一段落したのか、
席を立ち、こちらに近づいてくる。