初恋を君に
「上条…」
「…腹減った。」
夕ご飯を食べ損ねたのは上条も一緒。
伸びをしながら寝室からソファに近づいてくる。
Tシャツにボクサーパンツで
真冬とは思えない格好だ。
「簡単なものでいいなら作るけど?」
「うん。ちょっと前出て。」
「…えっ?」
意味がわからず言われた通り、
ソファの背もたれから身体を前にずらした。すると上条がソファと私の間に身体をねじ込んできた。
「ちょっと!狭いんだけど…」
後ろから抱きすくめられ背中に温もりを感じる。
「もう…お腹空いたんじゃないの?」
「その前に充電。ずっと会ってくれなかったし…」
「それはっ…」
次の言葉を言おうとした時、
お風呂の準備が出来たことを知らせる音楽が流れた。
「風呂?」
「…そうだけど、ご飯食べてから入るから。キッチン行くから手を外して!」
腰に回された腕をペチペチと叩いて、
立ち上がろうとする。
しかし上条は外そうとしない。
「…あの」
「一緒に入ろうぜ。」
「はいっ!?一緒に?…嫌よ!!」
無理…恥ずかしすぎる!
明るくて狭い場所に2人でしかも、
ハダカなんて!!!
「え〜いいじゃん。だって…」
上条が腿の内側をツゥーっとなぞる。
だって…の続きと上条の手つきに
顔が熱くなるのを感じる。
「風呂で文が疑問に思ってる事、教えてやるよ。いつから、とか…」
「っ!?」
確かに知りたい…
凄く知りたい!!
だからと言って一緒にお風呂は…
「どうする?これ逃したら、もうないかもよ?」
「うっ…うん…。」
上条を見上げると
意地悪そうな顔で笑っている。
まるで答えは聞かなくても分かっているような顔だ。
「…じゃあ別にいい。」
「はっ…いいの!?」
「うん。お腹すいたし、ご飯食べる。
先に入って来ていいよ。」
思惑通りにいくのが悔しくて
何より恥ずかしくて、拒んでみる。
驚いたのか、上条の腕が緩んだので
立ち上がりソファから離れる。
本当にお腹が空いてるし
簡単なものをつくろうかな…
どうせ上条も食べるでしょう。
そんなことを考えながら、
冷蔵庫を覗いていると上条が近づいてくる気配がした。