初恋を君に
「よくもこんな気持ちにさせたな!罰としてフレンチトーストを作ってもらう。」
そう言うと
達哉はガバッと起き上がったので
少し遅れて私も起き上がり、
思いっきり伸びをした。
「それって食べたいだけじゃないの?」
「バレたか〜」
ベッドから出てカーテンを開ける。
冬の光が窓から入ってきた。
2人の新しい関係の始まりの朝が、
晴れ渡る青空で幸先が良い。
「仕方ないなぁー。作ってあげようー。フレンチトースト。」
「おっ!やったね〜」
達哉がとても嬉しそう。
それを見て思わず微笑む。
未だに夢心地だけど夢じゃない…
「よし!」
ちょっと気合いを入れてから、
キッチンに向かった。
罰として…
と言いながら達哉もキッチンに立ち、
手伝ってくれるのであっという間に
料理が出来上がった。
料理をローテーブルに運び席につく。
「ねぇ。フレンチトースト好きなの?」
スープをかき混ぜながら
ふと思いついて問いかけてみた。
「うーん。好きな方かな〜?なんで?」
「いやぁ。リクエストするくらいだから好きなのかなぁと思って。」
「…まぁ。理由は他にもあるけどなっ」
「えっ?」
聞き返そうとしたが、
達哉は黙々と食べ始めたので
それ以上、なんとなく聞きづらくなってしまい、とりあえず食事に集中することにした。
他の理由ってなに?
何かあるのかなぁ…
フレンチトーストを口に運びながら
そんなことを考えていると、
「文!」と達哉に呼ばれた。
「あっ…ごめん。ボーッとしてた。」
「…文ってしっかりしてるのに、たまに抜けててそこがまた可愛いんだよ。それで、今日はこれからどうするの?予定は〜?」
こちらが照れるようなことを、
サラッと言ってしまうのだから
参ってしまう。
さすが「上条達哉」である。
「…きっ今日は特に何も…家のことやろうかなぁって。」
「そっかぁ。じゃあ手伝うよー。」
「…えっ?あっうん。…ありがとう。」
ダメだ…
何考えてるのか、わからない。
いつも通りすぎて…
ん…?
いつもって、いつ?
会社にいる時?
それとも…この間までなんとなく一緒に過ごしてた期間のこと?
でもそれは、「いつも」じゃなくない?
そんなことを考えていたら
思考にばかり気を取られ動きが止まってしまった。