初恋を君に
「…文?」
「あっ…ごめん。」
そう言いながら達哉の方に向き直ると、
眉間をグリグリと押されたので、
驚いて後ずさりした。
「なっ…何するのよ!?」
「なーんか考え込んでるだろ〜。」
肘をつきながらこちらを見る達哉の顔は
口元は笑っているが目は真剣だ。
「別に…何にもないわよ。」
「別にじゃないだろ?あんまりポジティブじゃないことを考えてる時は眉間にシワ寄せるのが文の癖だぞ。ほらっ!話してみろよ。」
眉間にシワを寄せてたなんて気づかなかった。なんとなく眉間を撫でてみる。
「…別に、大層なことじゃない。…ちょっとわからないだけ、どう接すれば良いか…新しい関係に…今まではただの同期だったから…」
なんとなく恥ずかしくて顔を背けると、
頭を優しく撫でられた。
「馬鹿だなぁ…そのままの文に恋してるんだから、文はそのままで十分だよ。」
「そっ…そう?」
「まぁ、強いて言うなら〜もう少し甘えて欲しいし、2人の時はミニスカとかショーパンとか履いて欲しいし、それと~…」
「も〜ういいわっ!!」
そう言うと達哉は可笑しそうに笑ったのでつられて笑ってしまった。
「ほら!あと1口食べちゃいな。家のことするんだろ?皿洗い引き受けるから。」
「はーい。」
返事をしたその口に、最後のひと切れを
頬張りながらお皿を重ねると
ヒョイッと持ち上げ、達哉はキッチンに
運んで行った。
「ありがとう…私は洗濯機、回してくるわ。」
「おう!こっちは任せとけー」
背中でそんな声を聞きながら、
洗面所に向かう。
一緒に暮らしたらこんな感じなのかなぁ…
ふとそんなことを考えた。
なんとなく見えた二人の未来に
自然に笑みが零れた。
お互いに声をかけながら分担した家事が
スムーズに終わり一息つくと
ちょうどお昼をすぎた時間になった。
朝食がゆっくりだったので、
どうしようかなぁと考えていると
達哉も同じ考えだったようだ。
「お昼はまだいいけど…買い物にいかない?」
「買い物??」
「うん。食料の買い出しに行きたい。」
「なら、車で来てるから車で行こう!」
じゃあ着替えるね。と言い残し寝室へ向かう。
身支度を整えコートをしっかり着込んで
リビングへ戻る。