初恋を君に


「じゃあ、行こう。どこにする?」


エンジンをかけて達哉は車を出した。


「この前のスーパーがいいなぁ。確か隣にカフェもあったし…あそこの紅茶美味しいのよ。」


「OK!道間違えてたら教えて。」


わかった。と伝えて前を向いた。

実は内心ドキドキしていた。
なぜなら…久しぶりにショートパンツを
履いているのだ。

『ミニスカとか、ショートパンツとか…』

達哉の言葉に真を受けた訳じゃない…
たまには、いいかなって思っただけだし!!

そう思いつつ恥ずかしくて、
ひざ下まであるコートを着込んでしまった。
そのおかげか、まだ気付いてないようだ。


「次、右だよな??」


「うっ…うん。曲がったら左側。」


「なに〜?まだ緊張してるの?」


「しっ…してないわよ!!!」


思わず達哉を睨み付けると、
ニヤニヤしながら運転していた。


なんか…調子乗ってない?
そんな達哉にショートパンツ姿を見せるのは
口車に乗ったみたいで何だか悔しい。


そんな事を考えていると、
車はスーパーの駐車場に入っていった。
日曜日の昼下がりのせいか、
駐車場は少し混んでいた。


「店から近いとこスペース空いてないなぁ…
ちょっと離れてもいい?」


「いいよ。運動になるし。」


車を降りてスーパーのある建物まで歩く。
12月だが今日は晴天のおかげで暖かい。
建物に入ると暖房も効いてるせいか、
体がポカポカしていた。

しっかり締めていたコートのボタンを開け、
首のストールも巻くのをやめて、かけるだけにした。


「今日、暖かいねー。ちょっと厚着しちゃったかも。」


「そんな着てきたのか?」


少し前を歩く達哉が振り向きこちらを見ると
目を少し大きくさせ、ニヤリと笑った。


「っ…何よ…」


「いやぁ。早速リクエストに応えてくれとは…嬉しいなぁと思って〜」


そう言って横に並び腰に手をまわしてきた。


「ちょっと…歩きづらい!!それに別にリクエスト応えたわけじゃないわよ。たまにはいいかなって…」


はいはい。と言いながら腰にまわした手を
離してくれたが代わりに手を握られ、
にっこり笑顔を落とされると
何も言えなくなってしまった。

もう…ずるいんだから。

そう思いながらも、
手を握り返してスーパーの奥に進んでいった。
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