初恋を君に


「大事にするから…」


「…うん。でも…」


ちょっとだけ身体を話して、
達哉の顔を見上げる。


「達哉のタイミングに任せるけど…ちゃんと、言ってね。きちんとした言葉で…」


きちんとした言葉…プロポーズ。
こんなに想われているのに、わがままだけど、
私にも乙女な気持ちが残っているのだ。

初めはわからなかったようだが、
答えに行き当たったようで、ニッコリと微笑み
少しだけ空いていた2人の間を埋めるように
抱きしめた。


「そうゆう可愛い事、言い出すなよ。帰りたくなくなるだろ…」


そう言うと額、瞼、こめかみに優しくキスを落としてきた。そして、
唇に軽く啄むようにキスをしながら、
そのままソファに押し倒される。


「でも…今日は帰るから…」


そう告げた唇が、
今度は深く熱いキスを落としてきた。
角度を変え、熱い舌を絡ませて
息継ぎを忘れてしまいそうなキスに
身体の奥が熱くなる。


「…んっ…言ってることと、やってる事が違うじゃん…」


名残惜しそうに唇を離した達哉の目に
妖しい炎が仄かに見えた。


「…だな。」


達哉はソファに座り直して、
何故か大きくため息をついて頭を抱えた。


「帰る!じゃあ、また会社で!」


「…はっ?うん。じゃあ…」


バタバタと帰ってしまった達哉を
玄関まで見送って少しの間、呆然としていると
部屋の中からメールの着信音がした。

とりあえず部屋に戻りスマホを見ると
達哉からのメールだった。

忘れ物でもしたのかな…?

そんな事を頭の端で考えながら、
メールを開いてみる。


『ちょっと、舞い上がりすぎて突っ走り過ぎてる気がする。ごめん。1回頭冷やす。』


舞い上がる?
突っ走る?

とりあえず、気をつけて帰ってね。
と返信をする。

今度は私が大きく息を吐き出して
なんだか可笑しくて笑い出してしまった。

昨日と今日で達哉にどんなに強く思われているかを何度も感じていたが…
感じている以上なのかもしれない。


『結婚なんてタイミングさえ合っちゃえば、
後はあっという間なのよ。』


ともみ先輩がそう話していたのを、
思い出した。
そのタイミングが、どうやら私にやって来たようだ。

大丈夫…不安もあるけど
このタイミングについていける。

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