初恋を君に

夕食を済ませてゆっくりしていると
スマホがいつもより大きな音で鳴り始めた。

画面には『上条達哉』の名前があった。


「…もしもし?お疲れ。」


『文〜。起きてた?』


「おっ起きてるわよ!まだ9時過ぎよ。」


『ははっ。悪い悪い。遅くなってごめんな。』


笑いながらも今までとは違う声色の優しさにドキッとしてしまう。
それと…もしも寝てしまってもすぐわかるように、
着信音を大きくしておいた自分にちょっと照れていた。


「…もう家に着いたの?」


『いや、でももう目の前。』


「もう少しなら、かけ直そうか?」


『もう着くし、それに文の声を早く聞きたくて我慢出来なかったから。』


確かに電話をかけてきたのは、達哉からなのでかけ直すのもおかしいけれど…
どうしてこうゆう事をサラッと言えちゃうのだろうか。
嬉しいよりも恥ずかしさが勝ってしまい、思わず頬に手をあてた。


「そっそれで?どうしたの?」


『クリスマスの事なんだけど…金曜の夜は今田たちと会うんだろ?だから明日の夜は飯食おうぜ。』


明日…?平日だけど…
壁のカレンダーを見ると明後日 水曜日は祝日なのに気付いた。


「わかった。いいよ。」


『よし!決まりなっ。じゃあ、車で迎えに行くから。』


「…車?会社に?」


『いや、文の家に。多分俺の方が遅いし、泊まるのに色々あるだろ?準備とか。』


「…とっとまる?」


いやいやいや…恋人なのだし!!そうだよね!
まだまだ慣れない関係に戸惑ってばかりいるのは自分だけで
何だか気後れしてしまう。


『あっごめん。何か予定あった?』


「ううん!ないよ。大丈夫!」


『本当に?…ごめん。』


どうしよう…なにか勘違いさせてしまったかもしれない。
まずいなぁ…思わず眉間にシワを寄せた自分に気づいた。
そして昨日、達哉と話した事を思い出す。

ーそのままの文でいい…

そうだった。それでいいんだった。
思い出したらその後の達哉からのメールも思い出して
電話中なのに笑ってしまった。


『えっ?何?いきなり。』


「ちょっと思い出し笑い。ねぇ達哉…ごめん。」


『えっ?なに?』


「もう同期だけの関係じゃないって自覚がなくて…まだドキドキしちゃうの。」


『あ?うん…』


「だから当分デートとか食事のお誘いとかは上手に返事出来ないかもしれないけど…嫌だとかそうゆうのじゃないから!」


よしっ!上手く伝わったかはわからないけど、
言いたいことは言えた…はず。


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