初恋を君に

「手伝ってやるから。」

上条は笑いながら立ち上がる。

「ほら。よこせ。」

紙袋から渋々取り出して渡す。

「ありがとう」

リビングのカーテンをかけはじめてくれる。

そうだ。布団が干しっぱなしだ。

そろそろ3時だし入れてしまおう。
寝室に続く扉を開けて、寝室からベランダへ出る。

暖かい。フカフカだぁ〜。

取り込んでベッドに掛けて、
思わず顔を埋めた。
幸せだー。このまま寝ちゃいたいなぁ…

「ふみ〜??」

開けっ放しの扉から遠慮がちにのぞきながら上条が声をかけてきた。

どうやら本当にウトウトしたらしい。
時間は5分位だろうか。

「あっごめん!」

「おまえ〜寝てたなぁ〜」

そう言いながら近づいてきたかと思ったら…

「ひゃっ」

私の髪ををぐしゃぐしゃっと掻き回す。

「人にやらせておいて〜」

「ごめん。本当にっ!わぁっ髪の毛がっ」

「このやろぉ〜」
そう言うと、最後にぐしゃっと撫でて手を止めた。

「もうっ」

少し膨れて見上げると上条の顔が思っていたよりも近くにあった。
彼も近さにびっくりしたのか、少し気まずく気はずかしい何だか今までにない空気が流れた。

「ほら。続きやるぞ。」

私の頭をポンと触ると立ち上がった。

「ここもカーテンかけていいんだろ?」

「…あっうん。お願い。」

びっくりした。
同期で友達じゃない顔を一瞬見たような気がしたけれど…そんなはずはない。
だって、恋愛は死ぬほど面倒だと豪語する上条だ。同期会で飲みながらじゃれ合う事はよくある。その延長上なものだろう。
別れたばかりだし私も少しおかしいのかも。そうだ。きっとそうに違いない。
上条はいつも通りに優しいだけなのだ。

< 16 / 150 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop