初恋を君に
「あぁ!それ!ミーティングルームにあった?」
ヒールを鳴らし百合子さんが近づいてくる。
香水の香りも近づいてきてクラクラする。
「はい。そうなんです。手が空いてたんで持ってきました。」
「わざわざありがと。預かるわ。」
誰もがうっとりしてしまいそうな笑顔を
向けられて、これは…
上条も落ちるのも時間の問題かな?と
ふと思った。
「ありがとうございます。お願いします。」
そう言って百合子さんにポップを渡し
少しぽーっとしながら今来た道を戻る。
戻って少し仕事を片付けたら
ちょうど定時だ。
そんな事を考えながら、
エレベーターを待っていると
急に腕を掴まれた。
びっくりして振り返ると、
上条が少し息を弾ませてすぐ後ろにいた。
「追いついた…」
その距離に朝のミーティングルームでの
出来事を思い出して顔が熱くなる。
「…びっくりした、どうしたの?」
「ポップはありがとう…ちょっと、
こっちに来て…」
そう言って、腕を掴んだまま階段へ
連れて行かれた。