初恋を君に
少し寝坊してしまった次の日の朝。
いつもよりゆっくりめに家を出る。
今日は少し遅めの出勤だ。
「おはようございます。文さん今日はゆっくりですねー。」
「おはよう。少し寝坊しちゃった。」
「上条さんが来てましたよ。」
「はっ?上条?」
「なんか…用事があるみたいな事
言ってました。」
「じゃあ、内線してみる。」
用事って何だろう?
業務についてかなぁ…と
考えを巡らしながら内線に手を伸ばした。
「あっ!でも今日はお昼すぎまで
外出だそうです。あとこっそり言われたんですけど…」
くみちゃんが声を落とした。
「…こっそり?」
「はい。個人的な事だから電話かメールが欲しいって…」
あぁ、なるほど…
きっと昨日のメールと電話の返事をくれ
ということなのだろう。
「文さん。難しい顔して…どうしました?眉間にシワがよってます。」
「ちょっとね…。」
「何かあったんですね〜」
くみちゃんがニヤニヤしながら聞いてくる。しかし残念ながら考えているような事とはまるで逆なのだ。
「…お昼休みにでも話すよ。」
思わず深いため息をついた私に何か感じたのか、くみちゃんも眉間にシワを寄せる。
「なんだか良い話では無さそうですね…かしこまりました。お昼にじっくり聞きます!」
そう言ってくみちゃんは
自分の席に戻って行った。
月末は何かと忙しく
お昼休みもバタバタと手早く済ませてしまった。それはくみちゃんも一緒だった様で2人して早めにオフィスに戻ってきた。
お互いの席に戻る前に、
そういえば…とくみちゃんが
朝の話を聞いてきた。
「昨日、2人と別れてお店に戻ったら
百合子さんと上条がいたの。すごく仲良さそうだった。」
「えっ!?じゃあ噂は…」
「まぁ本当だったって事じゃない?」
「えっ…でも…」
くみちゃんが何かを言いかけたが
オフィスに人が戻って来てしまったため
話はそこで終わってしまった。
誰だって噂が本当になったと思うのが
当たり前だし、恐らくそうなのであろう。
メールや電話はもしかしたら、
言わないでくれ。って事なのかな?
わざわざ広めたりなどしないし…
今までのイメージもあるしね〜
言われなくても大丈夫なのに…
そんな事を考えながら午後の業務に
取り掛かった。