初恋を君に
「…関係?この間エレベーターで一緒になっただけだよ。飲みに行きましょうって声かけられたけど…社交辞令じゃないの?今日も見かけたから声かけてくれたんじゃないかなぁ?」
「なるほど…既に文さんがフリーだという事は営業課にも知られていると事ですね。」
まるで探偵かスパイのような言い方だ。
「へっ?…知られている?営業課?」
「はい。佐山さんは営業課ですから…」
「へぇ〜営業課なんだ〜。」
「文さん!佐山さんの噂知らないんですか!!?」
ちょっと怒った口調でくみちゃんが
言った。有難いことに声のトーンは、
落としてくれていた。
「うっ…噂??」
「これはさやかさんに報告しなければいけない事案ですよっ!」
さっ…さやか?
なんか怖いんだけど…
「とりあえずオフィス戻りませんか?そこでお話しましょう!」
「あっはい!?」
くみちゃんの迫力に思わず敬語になってしまい、食べ終わったお弁当箱を急いで片付けた。
「文さん!」
オフィスに戻り私は自分の席につき、
くみちゃんは昨日同様に隣から椅子を
寄せて、デスクをタンっと軽く叩いた。
「…はい。」
「佐山さんの噂。本当に知らないんですか?」
「…名前を何となく知ってたよ。」
くみちゃんが頭を抱えた。
「佐山さんはストロングホークです!」
「えっ…この前見た歌劇団の…」
「そうです。狙った獲物は逃がさないんです!噂では、佐山さんが落とすと決めた相手は必ず落とすと言われてます。社内で落とした女は数知れずです。」
「へっへぇ…」
「文さん!今度は文さんなんですよ!
その相手が!」
「はぁ…」
「もう!文さん!!」
「え〜だって私だよー??」
佐山くんはジャニーズいても
おかしくない!という感じの
なかなかのイケメンだ。
その彼が…?まさかぁ〜
「ふみ〜さ〜ん!!」
くみちゃんが今度は強めにデスクを
タンっと叩いた。
「もう!!自分の事分かってなさすぎです!!そうは思えなくても頭の片隅に入れておいて下さい!文さんは綺麗で気の利く素敵な方です。そこがとても魅力的なんです!男性陣はスキあらばという感じなんですよ!」
くみちゃんは立ち上がって
一気にそう言った。
「はっはい。」
「さやかさんに対策聞きましょう!」
「へっ?」
なんで、さやか?
「さやかさんは我社で唯一、佐山さんの手の内に落ちなかった方なんですよ!」
くみちゃんは、ぐっと拳を握り
任せておいてください!と言い残し
自分の席に戻って行った。