初恋を君に


さて…午後は資料室にいきますか。


なんだかくみちゃんから聞いた話で
ぐったりしてしまった。


係長に資料室に行くことを告げ、
4階へ向った。


やっぱり静かで落ち着く。
今日探す資料は部屋の1番奥だ。

探さなければいけない資料は、
そう多くないので手早く終わらせてしまおう。

必要な資料を出してコピーをとる。
その繰り返しを何回か繰り返した後
誰かが資料室に入ってきた。


誰かが資料を取りに来たのかな?


ちょうど届きそうで届かない資料ファイルに手を伸ばしていた時だったので、
振り向けないでいたら
後ろから手が伸びてきて取ろうとした
資料ファイルを出してくれた。


「あっ…ありがとうございます。」


振り向くとそこにいたのは…

「あっ…佐山くん。」


「これだけですか?」


取ってくれたファイルを渡しながら
あのキラキラした笑顔で話しかけてきた。


「お言葉に甘えて…隣のもいいかな?」


「はい。これですか?」


「そうそれ。ありがとう。」


はい。どうぞと佐山くんがもうひとつの
ファイルを渡してくれた。
2冊抱えるとコピー機へ移動する。



「えっと…佐山くんはどうしたの?」


コピーを取りながら真後ろにいる
佐山くんに話しかける。


「僕も資料コピーしに来たんです。その今、菊池さんかコピーしているファイルなんですけど…」


「えっ?本当?一緒にコピーしとく?何ページ?」


「本当ですか?ラッキー!じゃあ45と46お願いします。」


えっと…45ページ…
ページをめくりコピーをとる。
なんだか束ねた髪に違和感を感じ
確認しようと後ろに手を伸ばす。
しかし髪に手が触れる直前に
手を握られびっくりして手を引きながら
振り返る。


「佐山くん?」


もちろん後ろにいたのは佐山くんで
彼しかいないのだが…


「髪…綺麗ですね。」


ニッコリ笑うと、
私の後頭部に手を伸ばし束ねた髪を
すきながら前へ持ってくる。
何度か繰り返す佐山くんを
困惑気味に見ていると


「菊池さん。そんな可愛い顔してると
キスしちゃいますよ。」


今度は少しだけ意地悪そうな笑みで、
そう言い放った。


「へっ?」


思わず間抜けな返事をすると、
佐山くんがクスクスと笑い始める。


「いつもはクールな菊池さんがこんなに可愛いなんて…凄いギャップなんですけど。ますます…」


佐山くんが言い終わる前に、
携帯が震える音が響いた。
どうやら佐山くんの内ポケット入っている携帯が鳴っているようだ。

軽く眉間にシワを寄せ、
携帯を見ると、やっべーとつぶやく。
そして私の横から今コピーしたものを
取り出した。


「片岡主任からで…多分遅いから呼び出しです。片付け出来なくてすみません」


バタバタと扉に向かいながら、
最後にコピーありがとうございますと
言って去って行った。



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