初恋を君に
「手伝おうか?」
「いえ。もうこれで終わりなんで。大丈夫です!あっそうだ…上条さんのこと…すみません。うっかり話しちゃいました。居場所も佐山さんのことも…」
あぁ…うっかりと言うより、
この顔を見ると、問い詰められたのだろう。
それを自分のせいの様に話すんだから
全くこの子は…
「ううん。気にしないで。じゃあ、私は帰るね。また来週〜!」
「はい。ありがとうございます。お疲れ様です!」
そう言って、くみちゃんと別れる。
確か…駅前のデパートの地下はワインが揃っていたはず、そこでワインとチーズを買おう。
あれこれ考えながら更衣室を出て、
エレベーターに向かう。
扉が開くと、百合子さんと上条と何人かの企画課の社員が降りてきた。
上条が何か言いたげにこちらを見たが、
お疲れ様です。と言いながらエレベーターに乗り込み「閉」のボタンを押す。
扉が閉まる瞬間、上条の腕に触れる
百合子さんと目が合った。
会釈する間もなく扉が閉まった。
壁に背をつけため息をつく。
ほら、あんなに仲良さそうじゃない。
なのになんで…
考える方が馬鹿らしい。
早く帰って現実逃避!!
そう言い聞かせ帰路につく。
今日は酔いたい気分!
そんな時は赤ワインと決めている。
何種類か試飲させて貰い、
赤ワインとチーズを購入する。
試飲で少しだけ気分が良くなり、
鼻歌混じりで家についた。
お風呂を済ませ、そのまま寝ても平気なように一応毛布をソファに持ってきて
Blu-rayをセットした。
キラキラした映像が流れ始め
夕食とチーズを食べながら、
飲むワインがどんどん進む。
これ…美味しい〜
画面にキスシーンが流れ始めた。
正確にはキスするふりだけれども…
「あぁ…もうっ。」
そう言いながら天井を見る。
若干酔いがまわっているせいで、
目を瞑ると周りがゆっくり回り始める。
そのまま深く沈み込みそうになった時に
ピンポーンとインターフォンがなった。
「はっ?誰?」
いつもだったら部屋着を確認して人前に出ても大丈夫かどうか気にするのに、
酔いがまわっていたせいか、
ドアスコープも覗かずに、そのまま
ガチャっと扉を開けてしまった。