初恋を君に

「ひゃっ!」


耳たぶをペロッと舐められ
耳元で上条が囁いた。


「見苦しいなんて、とんでもない。そんな可愛い格好して男を家に入れるなんて…」


「…んっ」


「誘ってるって思っていいって事だろっ」


そう言うと今までとは違う荒々しいキスをしてきた。

思わず声が出るほど深いキスとほろ酔いが手伝って快楽の海にのみこまれそうだ。

でも…でも!この人は!!
そう思ったと同時に上条の肩を思いっきり押して起き上がろうとしていた。


「…無理。もう止められ…文?」


切羽詰った声が驚いた声に変わった。
気づいたら私はボロボロと泣いていた。


「…文。ごめん。怖かったよな…」


「…ちっ違う。」


上条は困惑しながら、こぼれる涙を指で拭ってくれる。
怖かった訳じゃない。
このまま流されてもいいと思った。
でも…この人は百合子さんと。
そう考えると涙が零れ、今の状況に
耐えることができなかった。


「…なんで。ゆっ百合子さん…いるのに。彼女いるのに…」


上条は驚いた顔をしてこちらを見ていた。
ほらやっぱり…
何も言わないのは肯定の証だ。

組み敷いた体を離し
私を起こした後、上条はソファに座らず
正面に膝をついた。


「文…こっち見て。」


私の手を握り、上条が優しい声で呼ぶ。
泣きながら見るとなぜか微笑む顔が
あった。


「…っなんで、笑ってるのよ!わっ…私が泣いてるのが、そんなにおかしい?」


握られた手を解こうとしたが、
その前にぎゅっと握られてしまい解けなかった。


「…ちがう。ごめん…すげー嬉しくて」


はぁ!?
何なのこの男!?


「だって文…嫉妬してるんだろ?それって…」


「ちっ違うし、百合子さんとの事を…」


「って言うか…なんで百合子さんと付き合ってる事になってるの?」


はっ!?
えっ?どう言うこと?
驚いて目を見開く。


「百合子さん、彼氏じゃないな…
婚約者いるし。文も会ってるじゃん。
ほら!この間一緒に行った。イタリアンのシェフ。」


へっ?
あのラガーマンみたいな人?


「そう。多分いま思い浮かべた人。
誤解解けた?」


まっすぐこちらを見ながら優しく微笑む上条に小さく頷く。


「今まで彼女にしたいって思ったの1人だけだし。」


「えっ?」


そう言うと今までで1番優しいキスをした。
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