初恋を君に

車を止め、ここっ!と言ってお店を指した。お寿司屋さんと言っていたが見た目はどう見てもカフェだ。

お店に入るとカウンターこそある物の、
お寿司屋さんっぽい雰囲気は全くない。
席についてメニューを開くと、なんと海苔巻きしかなかった。

しかし種類はかなり豊富だ。


「すごーい。えっ美味しそう。何食べよう。」


「この色々な海苔巻きの盛り合わせは?」


「いいね!それと…お吸い物。」


すぐに決まり店員さんに注文する。


「文。日本酒は??」


「辛口と甘口と色々ご用意しておりますよ。」


うっ…すごく飲みたいけど
運転手を差し置いてさすがに悪い。


「あっ今日は大丈夫です。次の機会に…」


「かしこまりました。」


そう言って店員さんはにっこり笑うと、
厨房の方へ戻って行った。


「飲めばいいのに。」


「だって上条は運転で飲めないのに…しかも日本酒好きでしょ?悪いからいいよ。」


「そっか…ありがとう。」


頭をポンポンと触れると、
にっこり笑った。何だかこちらが恥ずかしくなってしまう。


他愛もない会話をしながら
あっという間に食事を終え
美味しいお茶でひと息をついていた。


「ちょっとお化粧室行ってくる。」


鞄を持ってトイレへ向かう。
レジの前を通ると日本酒が並んでいた。


「販売もしているんですか?」


「はい。小さなものにはなりますが色々取り揃えいますよ。」


おー!!
買っちゃおうかな〜


「とりあえずお化粧室に行った後にもう一回来ますね。」


「かしこまりました。」


ちょうどレジは座っていた席から見えないので上条にこっそりお土産を買ってあげよう。
トイレから戻り行く時に目をつけていた日本酒と自分用には違うものをもう1本買う。


「帰る時に受け取ってもいいですか?」


「はい。もちろんです。」


にっこり笑う店員さんに見送られ席に戻る。


入れ直して貰ったお茶を飲み終えると
上条が帰ろうか、と声をかけてきたので
お会計は…と伝票を探す。


レジを通り過ぎ、出口に向かう上条を追いかけつつもお店のスタッフが差し出すお土産の紙袋を受け取った。


「待って。お会計…」


「もう済んでる。ってか何買ったの?」


済んでるって…
この間も結局出してもらったのに…

恐らく困った顔をしていたのだろう。
前を歩いていた上条は隣まで来て、
背中に手を回し、ほら行くぞ。と笑う。

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