初恋を君に


「朝ご飯はきっと食べれないから、昼ご飯考えた方がいいよなぁ」


朝ご飯は何がいい?と聞いたらそう答えた上条。はて?と思ったが朝まで…と言っていたことを思い出し顔を熱くした。


それに気づいた上条は
「おっ!ちゃんと覚えてた。いい子いい子。」と頭を撫でるのでその手を振り払い、ハイハイ。と言いながら、野菜を何個かカゴに入れていく。


どこまで本気なんだか…


リクエストを聞きながら買い物を済ませ
私の家に帰ってきた。


冷蔵庫に食材を入れている間に、
上条は紙袋から日本酒を取り出していた。


おつまみや明日の朝ご飯?の準備を始める。和食がいいと言われたので、
シジミの砂抜きをするためにボウルに移し水を入れる。日本酒のアテを盛り付けていると目線を感じてそちらを見る。


「…なっなに?」


「いやぁ〜いい嫁になりそうだ。と思って。」


「はっ?…あっありがと。あっ日本酒温める?冷やす?」


恥ずかしさのあまりすぐに話題を変える。

「常温で平気。文は氷入れるんだろ?冷凍庫開けていい?」


仲の良い同期なので知っている事だが
何だか嬉しかった。
グラスを受け取り冷蔵庫に向かう上条に
ありがとう。と告げるとにっこり笑って頷いた。


おつまみをローテーブルに並べ、
日本酒を注いだグラスをカチリと鳴らし
お互いひと口飲んでみる。


「おいしい…」
「旨い…」



思わず同時に声を出してしまいお互い笑いあう。
美味しいものを分かち合える事に
とても幸せを感じる。
おつまみを食べつつテレビを観ながら、
取り留めのない話をしてお酒を飲む。
まるでずっと一緒にいるような感覚に
驚いてしまうが心地よい。

録画しておいた海外ドラマを
見ていると急に右肩に重みを感じた。

そうっとそちらを見ると
重みの正体は上条の頭だった。
規則正しい寝息も聞こえる。

お酒の強い私のペースと一緒に
飲んでいたので当たり前か…
朝まで…とか言ってたくせに、
先に寝ちゃった。

思わず笑みがこぼれる。

さすがにこの体勢は辛いだろうと思い
まずは上条の手から空のグラスを
抜き取ろうとした…その時
ちょっと体がズレたせいか、
上条の頭が肩から外れ、そのまま私のヒザの上に収まった。


「うっ…わぁ。」


困った…身動きが取れない。


「上条。上条…」


何度か名前を呼び、
肩を揺らしてみたが起きる気配はない。
仕方がない…
録画してまだ見ていない海外ドラマも
あるし、もう少しこのままでいるか…


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