初恋を君に
洗い終わった洗濯物をカゴに移していると、これ洗うんだろ?と上条が取替えたシーツとベッドカバーを持ってやってきた。
「うん。ありがと。」
「じゃあ、カゴ持ってく。ベランダだろ?」
「えっ!あっ!ちょっと…」
上条はさっさとカゴを持って行ってしまう。急いで洗濯機のスイッチを入れて、追いかける。
2人でベランダに出て
カゴから洗濯物を干していく。
上条が広げて渡してくれる。
慣れてるのは、上条も一人暮らしだからなのか…それとも…
「なんか夫婦みたいだな。」
「はぁ!?」
「はい。これも干して。」
手渡してきたのは上条の下着だった。
「自分のものは自分でどうぞ。」
「じゃあ、これも一緒に干しとく。」
そう言うと今度は私の下着を
ピラっと持ち上げた。
「もうっ!あとはやる!」
上条は笑いながらカゴから
少しだけ離れた。
確かに夫婦しかも新婚夫婦のようだ。
端から見たらそう見えるかも知れない。
本当に…一体どう言うつもりなんだろうか?
週末が終わる。
明日からまた仕事が始まり
日常が戻ってくる。
今日は別れたら、この週末を2人で過ごした時間はもうやってこないのかな…
「文?終わった?部屋入ろう。」
「あっ。うん。」
ベランダから部屋に入り、
ガラス戸を閉める時に
干してある上条のシャツが目に入った。
『今着てる服置いといていい?』
上条が言った言葉が思い出された。
そっかまた来るんだ。そっか…
良かった。
嬉しさと安心感が胸に広がり、
思わず笑みがこぼれた。
「どうした?」
「ううん。なんでもない。
ちょっと思い出し笑い。
お茶入れるね。紅茶でいい?」
「変な奴。カゴ戻しとく。
紅茶で大丈夫だよ。ありがとう。」
一緒にいて楽しくて嬉しいのは、
好きだから…?
そうなのかもしれない。
そっか…好きなのかぁ…
ちょっと他人事のような気持ちで
紅茶の準備をしていた。