初恋を君に
「くみちゃん。しっかり。ほらタクシー来たわよ。住所言える??」
なんとか1人で立ってはいるが
くみちゃんは楽しそうに笑っている。
「はぁーい。大丈夫でーす。楽しかったですね。沢山お話出来てすっきりでーす。ありがとうございまーす。」
「はいはい。これで。お釣りはこの子に渡してください。」
タクシーの運転手さんにお金を渡し、
ドアを閉めた。
「やれやれ。くみちゃん大丈夫かしら?珍しいわね。あんなになるなんて…」
「うーん。確かに…。」
「気になる人って誰だと思う?何となくあの人かなぁって…」
恐らくさやかが考えている人と私が思い浮かべる人は一緒であろう。そう伝えると、やっぱり?とさやかが返してきた。
「でもまぁ…くみちゃんは何も言わないからこちらからは黙っておきましょう。って言うか。文こそ上条とどうなの?」
駅に向かう道の途中、
急に出てきた上条の名前にびっくりしてさやかをマジマジと見た。
「文、上条と何かあったでしょ?」
「なっ何で??」
さやかが腕時計をチラッと見て、
終電までまだあるからお茶しない?
といいつつ…拒否権は与えない様子だ。
「丈がね、週明けから上条がすごく機嫌がいいって言ってたの。確かに受付で会うと楽しそうなのよね…」
そうですか…
機嫌がいいねぇ…
「機嫌がいい理由は絶対に文なのよ。でも文には、そんな雰囲気が微塵もないから…」
そう言いながら駅のすぐ近くのコーヒーショップのドアを開けた。
注文をしてコーヒーを受け取ってから
席につく。
「別に文が何にもないって言うのならそれでいいのよ?私の勘違いだから。」
うっ…相変わらずさやかって鋭い。
って言うか怖い…
「勘違いじゃない…」
「それで?」
百合子さんとは付き合ってなかった事、
その誤解を解きに来た事、
その後過ごした週末の事…
もちろん甘い夜については割愛して
さやかに話しをした。