初恋を君に
「お疲れ様です。総務、菊池です。」
『あっ文?お疲れ。上条だけど今、平気?備品の事で確認したいことがあるから、ミーティングルームに来て欲しいんだけど。』
「お疲れ。ミーティングルーム?わかった。5分後に行くから。」
『あぁ。よろしく。』
上条は言い終わると同時にガチャっと
内線をきった。
ん?なんか怒ってる?
備品に何か不備があったかなぁ…
そんな事を考えながら、くみちゃんの
席へ向かう。
「くみちゃん。お昼は…」
「文さん!私の方こそ、口出ししてすみません…」
「そんな事!この後用事があってゆっくり話せなくてごめん。でも心配してくれてるのは分かってるから。ありがとう」
「はい。」
それじゃあ。と手を振りオフィスをでる。親身に心配してくれる後輩をもって幸せだなぁとと思う。
2階に降りてきてどのミーティングルームか聞くのを忘れた事に気づいた。
しかし終業時間が過ぎているのでどの部屋も暗い。ひとつだけ灯りが漏れている部屋があったのでそちらに向かう。
この部屋は、上条と…
ドアの前でひとり思い出して顔が熱くなる。ひと息ついてからノックをしてからドアを開ける。
「お疲れ様。ごめん。待った?」
上条はテーブルに寄りかかり腕を組んでいた。返事がないことに少し不審に思いながら近くへ向かう。
「備品のことって何?上条?」
「なんで断らなかった?」
「…はっ?」
予期せぬ言葉に何のことか全く理解できずにいると上条に手首を捕まれ引き寄せられた。
「佐山の事。なんで断らないんだ?見せつけたかった?」
どうやら社食でのやり取りの事を
言っているらしい。
成り行きで断ることが出来なかっただけだし、あの近くに上条がいることも知らなかった。そもそも何故そんな事を言い出すのかさえも分からず、少しだけ怒りを感じたがぐっと堪えようとした。
「見せつけて焼かせたかった?それとも文はそうゆう軽い女なの?」
堪えようとした怒りが身体中を巡り、
抑えることはできなかった。
掴まれていた手を払い除け1歩離れてから上条を軽く睨みつけた。
「…仕事話がないなら帰る。それに佐山くんと約束しようがしまいが上条に関係ない。軽い女って言われるなら今までの上条の行動はどうなのよ。」
上条は急に声を荒らげた私に驚いたのか
ただこちらを見つめていた。
「って言うか、付き合ってる訳じゃないんだから私が誰とどこに行こうが自由でしょ!上条には関係ない!」
そう言い切ると足早にミーティングルームを出る。扉が閉まる直前に名前を呼ばれたけれど振り返らずにエレベーターに向かった。