彼女のことは俺が守る【完全版】
 海斗さんの食事の用意をしていると、バスルームの方でドアが開く音がして、リビングのドアが開かれると、首にタオルを掛けたままの海斗さんがさっきまでのスーツから動きやすそうな部屋着に着替えていた。


 その姿を見て、今日はこのままマンションにいるかもしれないと思った。一週間のはずの京都ロケは三週間も掛かっていて、私は海斗さんに会うのはこれで四回目だった。メールや電話で少しは距離も近づいたような気はするけど、それでもまだ私は海斗さんという存在が眩しすぎて自分の気持ちを素直に言葉には出来ない。


「さっぱりした」


 そんな言葉と共に海斗さんは穏やかな微笑みを浮かべていて、私が用意した料理を見るとまたニッコリと笑った。


「美味そうだな。食べてもいい?」


「はい。でも、味には本当に保障出来ないですから」


 海斗さんは職業柄、美味しいものを食べていると思う。有名な料亭とかにも行くだろうし、星を貰ったようなレストランにも行くかもしれない。そんな口の肥えた海斗さんが私の料理とどう思うかと思うと、気が気ではない。


 ゆっくりと運ばれた料理は海斗さんの口の中に消えていく。すぐに、海斗さんは綺麗な顔を満面の笑顔で埋めたのだった。その笑顔を見て私はホッとした。


「里桜。美味しいよ。俺の好きな味」
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