彼女のことは俺が守る【完全版】
 匂い袋は常温で香りを楽しむ香料の入った袋。

 
 聞いたことはあったけど、実際に目にするのは初めてだった。小さな袋からは優しい香りが緩やかに辺りに漂っている。その香りはしっとりとした華やかさと趣のある香りで、私には少しだけ背伸びしたような気にもなる香りでもあった。そして、それは私の好きな香りでもあった。


「そう。京都にある店のものだけど、香りは俺が選んだから気に入るかどうかわからないけど、里桜に似合うと思った」


「ありがとうございます。すごくいい香りです。とっても優しい香りがしませんか?私の好きな香りです」


「それならよかった。香りは好き嫌いがあるので少し迷ったけど、里桜にはこれが一番会うと思った」


「本当にいい香りです。大事にします」


「ああ」


 海斗さんはロケの合間の少しの時間を見つけてこれを買ってくれたのだろう。とっても可愛くて優しい香りを海斗さんが選んでくれたことが嬉しかった。大事にしようと思う。いつか別れの時が来るならば、後から見返せばいい思い出になると思う。


 そんなことを思いながら、手の上にある匂い袋を見つめたのだった。
< 118 / 188 >

この作品をシェア

pagetop