彼女のことは俺が守る【完全版】
 そんな私の耳元では雅さんの優しい声が『当たり前よ』と囁き、真っ直ぐに見つめている高取さんはゆっくりと私を見て頷いたのだった。


「じゃあ。里桜ちゃんの部屋で着替えとかしましょうね。篠崎くんは楽しみにしておいて、それと高取さんは持ってきた荷物を里桜ちゃんの部屋に運びこんだらすぐに出てね。今からは女の子の時間だから」


「分かっているよ。雅が里桜さんのメイクとかしている間に、俺も海と仕事の打ち合わせがある」


「それならいいけど」


 高取さんと雅さんは仲がいい。俳優篠崎海を支えるしスタッフというだけではないように感じたけど、私が踏み込んでいいわけではない。高取さんは荷物を私の部屋に置いてから、部屋を出て行き、私と雅さんの二人だけになったのだった。


「今日はありがとうございます。よろしくお願いします」


「魔法をかけてあげる」


 雅さんはそういうとニッコリと笑い、私を鏡の前に座らせたのだった。鏡越しに雅さんと目があって、ニッコリと笑っていたのに、一瞬でスイッチが変わったかのように雅さんの顔から微笑みが消えた。真っ直ぐな瞳は真剣さを帯びていた。


「髪は一度巻いてからアップスタイルにするつもりだけどいい?この前のドレスからすると胸元のカッティングが綺麗だから、アップにした方がいいと思うの。でも、ただ巻き上げるだけでは可愛らしさが足りないから、毛先を遊ばして、フェミニンな雰囲気にしようと思うけどどう?」

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