アタシ、好きって言った?
門限
「久しぶり」
ナツは変わらず笑っていた。
柄物のワンピースにオレンジ色のパンプスがとても似合っていた。
「今日はどうする?いつものホテル行く?」
「ちょっと来て。道覚えて」
僕の手を握り、ナツは歩きだした。
「どこ行くの?」
「いいから、前見て道覚えて!ここ左に曲がるよ!」
もしかしたらナツの働いているお店の人に何かされるんじゃ・・・そんな不安がよぎった。
しばらく歩いた。
ナツの髪が風になびいてサラサラと音をたてた。
「ここ!アタシんち!」
「えっ!このマンションがナツの住んでるとこ?」
「うん。3階がアタシんちね!今度からはここに迎えに来て!」
そう言ってナツは笑った。
少しでもナツを疑った自分に腹が立った。
「道覚えた?」
「うん。ありがとう。」
「じゃあ、何か食べよっか!ナツ、今日はお蕎麦食べたいな!」
「うん。行こう」

遅めの昼食を済ませ、いつものホテルへ行く。
「ナツ?」
ナツはTVゲームに夢中だった。
「何?」
「今日一緒に泊まりたいな・・・」
「ゴメン。お泊まりは出来ないよ。門限あるから」
「いつなら大丈夫?」
「んー、ずっとダメかな」
ナツと出逢ってから1ヶ月が経ったが、いつも夕方にはサヨナラだった。
「お店があるから?借金はあといくらあるの?俺、ナツの為なら金作るよ」
「イイ!アタシが作った借金だから自分で返す!」
僕は何も言えなかった。
「もう出よっか?タクシー券あるから駐車場まで使って」
「ホテル代出すよ、いつもナツ払ってるから・・・」
「アタシ、シン君お金目当てかと思ってた」
「えっ!そんなつもりないよ!そんな事言うなら、もう一円もお金使わなくてイイよ!」
悔しくてたまらなかった。
ナツにそんなこと言われるなんて・・・
「ゴメン、ゴメン。アタシ仕事が仕事だから男の人はみんなそう見えちゃうから」
僕はナツをギュっと抱きしめた。
どうしたらイイんだろう?
折れそうなほど華奢なナツを抱きしめながら、ナツを愛している自分に気付いた。
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