政略結婚から助けてくれたのは御曹司様

異常な愛




「お帰りなさいませ、志津香お嬢様」



『ただいま』



私の家は、大豪邸だ
お手伝いさんがいて、シェフがいて
運転手もいる


何不自由なく暮らしている
それが、私たち一家をダメにしている



「志津香お嬢様、旦那様が戻られたら書斎へ来るようにと…」



『わかりました』



こんな毎日、いつになったら抜け出せるんだろう


着替えに行こうと自室へ向かう
その途中、これから出掛けるであろう
母と会う


「お帰り、志津香」


『ただいま帰りました…お母様はこれからお出かけですか?』



「ええ、昔からの友人とね。夜には戻るけど夕食はいらないわ」


私と、私の後ろにいるお手伝いさんに
そう伝えている



きつい香水撒き散らし
昔からの友人なんて言ってるけど
私は知っている


定期的に母が着飾って出掛ける
古い友人なのか知らないが
母は男と会っている


いつから母と食事を一緒にしていないんだろう
考えても、思い出せない


自室へ行き、制服を脱ぐ
この制服が私は嫌いだ


いかにもお嬢様学校だとわかる制服
清潔さをだすために、ワンピースの上に同じ色のジャケット、グレー一色
校章入りのブラウスを中に着る
襟は細い赤いリボンを結ぶ

スカートの丈は膝より10センチも長い
他の高校の制服が羨ましい


別に、好き好んでお嬢様学校に入ったわけじゃ無い
母の……見栄だ
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