政略結婚から助けてくれたのは御曹司様


どうにか立て直しを図ろうて
していた矢先、祖父の耳に入ったという


「赤城の名に泥を塗りやがって」


その言葉とガツンという響き
驚いて、父を見れば
父は椅子から転げ落ち、頬に手を立てていた


『お父様っ、』


私が慌てて父の元へ駆け寄るが
父の手によって制止された



「志津香、お前にいい話がきているんだ」



祖父は優しい声で私に話しかけてきた



「総会に出たそうじゃないか、」


祖父は父に構わず話を進める
いや、今はそんな話をしている場合じゃないと思う


祖父は二つ程私に話がきていると続け

「堂本コーポレーションの息子がな、志津香と正式に婚儀を交わしたいといってきたぞ?」


堂本、コーポレーション…
陽介さんだ

志摩子さんにも父にも
陽介さんは無理だと言っていた


「堂本コーポレーションと提携を組めば倒産は免れるし、今後のことも心配する必要がないだろう……なあ、眞太郎」


祖父はそう言って父を見る
祖父が父の名前を呼ぶのを聞くのはいつ以来だろう
祖父はいつも「あいつ」「あいつら」と
名前を口に出さなかった



父は顔も上げず
「……はい、」
それだけ言った



あー、そうか
政略結婚というのは、そういうことか

どんなに嫌な相手でも
親のため、会社のために
自分が犠牲になることなんだ
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