政略結婚から助けてくれたのは御曹司様
健彦さんの運転で
健彦さんと志摩子さんの家へ
二人には息子と娘がいる
お兄ちゃんの方は
就職をして、今は学校の先生をしている
お姉ちゃんの方は大学生、
医者になると言っていた
二人は政略結婚とか無理だと言っていた
志摩子さんと健彦さんも
それは理解しているようだ
やはり二人が両親だと思うと羨ましい
「さあ、上がって」
志摩子さんの家は
お手伝いさんはいない
志摩子さんが一人で家事をやっている
「お腹すいたでしょ?何か作るわ」
そう言ってキッチンへ行こうとしたが
健彦さんが、僕がするから、と
腕まくりをしている
その光景に、なんだか見ているこっちが恥ずかしくなった
志摩子さんに連れられ、
ゲストルームへときた
「ここ、使って。志津香の荷物はコレ」
それはいつだったか、志摩子さんと買い物に出かけた時に見ていた下着や服だった
いつの間に買ったの?
けど、志摩子さんはこうなることを知っていたんだと思う
「志津香はいいの?堂本の息子より、斗真くんの方がいいんじゃないの?」
志摩子さんは、的確に私の痛いところをついてきた
うん、と言いたい
斗真さんの方が全然いいって言いたい
『……しかたがな……いです』
そういうと、やはり
涙が出てきてしまった
一度流れてしまうと止める事は無理だ
志摩子さんは何も言わず、私を抱きしめてくれ、子供みたいに背中をトン、トントンあやしてくれた