政略結婚から助けてくれたのは御曹司様

枯れた日々



それからの私は
何もしたくない、何も考えたくない
これからの人生は
赤城のために生きていく
いや、生かされていくしかない


冬期休暇があって助かった
あの話を聞いてから
志摩子さんの家から一歩も出ていない


志摩子さんも健彦さんも
忙しい日とだから
一人になることだって多い

居候の私は
出来るだけ、家事をやった


そうすれば、少しは
余計な事を考えなくて済む



「志津香は料理が上手ね、」


『授業で受けましたから…』



そう笑って返せば
志摩子さんは悲しそうに笑う

心配かけたくない
あの日、志摩子さんにいいだけ甘えた
だから大丈夫


健彦さんも優しい
志摩子さんを大切にしているのが
見ていてわかる

両親みたいな関係ではない
家族っていうのは
こういうものなんだろうと思った


健彦さんは、私に必要以上近寄らない
一定の距離を保ちながら
和かに笑いかけてくれる

父のせいだろうか、
大人の男の人に触れられるのが苦手
苦手というか、身体が拒絶する

っといっても、私に触れたのは
陽介さんと……斗真さんだけだ

陽介さんに触れられた時は
父と同じように鳥肌がたった


けど、斗真さんは違った……
斗真さんに触れられた所が温かかった

斗真さんは大丈夫って、



けど、私が選んだのは斗真さんじゃない
< 42 / 136 >

この作品をシェア

pagetop