政略結婚から助けてくれたのは御曹司様


「親父が志津香も同行させよう、って。婚約者として紹介しようって」



なんて事だ
こんな事ならバルコニーではなく
寝室で寝ていたら良かった
それなら仮病も使えたのに…



『けど、そんなドレスもないし、ヘアだって……』



そんな心配、陽介には通用しない



「大丈夫だよ、ドレスは今から買いにいくし、セットもそこで済ませるから」



決定事項だ
なら、私が何を言っても無駄だ


『では、準備します』


断りを入れ、着替えるために
寝室へ向かった



こういうパーティーは
これからもあるだろう

嫌とは言えない


クローゼットを開け
1着、ワンピースを取り出した



「そのワンピース、志津香に似合うよ」



陽介の声が耳元で聞こえる
あー…いつスイッチが入ったのか、



『陽介…、時間が、』


「ん?大丈夫。」


そう言って私のウエストに手を回し
スカートのホックを外した



大丈夫なわけない




『…ん、ま…、まって…』


そう言っても、やめるわけない
パサっとスカートが落ち
そのままブラウスのボタンも
最も簡単に外される



『…ねぇ…、優しく…、ね?』



そういうのがやっとだ
じゃなきゃ、陽介の機嫌を損ねてしまう
損ねたら、もっと執着してくる


非常に面倒な奴なんだ
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