政略結婚から助けてくれたのは御曹司様
「奥様、宅配ボックスの方に食材を入れておきました」
コンシェルジェからの連絡
何度受けても苦痛だ
外に出たい
自由に歩きたい
ダメと言われたら
出たくなる生き物だ
それでも、どうにか
暇つぶしを探す
以前、頼んだ本
映画にまでなった冒険モノ
それを手にし、バルコニーに出る
心地いい風と強すぎない陽射し
パラソルの下のベンチ
これしか見つけられなかった
これでいい、これで十分
本の世界に入り込むと
嫌な事を忘れられる
赤城の事も
陽介の事も、
……斗真さんの事も。
……、…か、
……ずか、…、…しずか
誰かに呼ばれている
目を覚ます、
「志津香、こんな所で寝たら風邪ひくよ」
陽介の声で自分が寝入ってしまった事に気がついた
『…ごめんなさい』
体を起こせば、まだ空は明るい
何故こんな時間に陽介が?
「電話したんだけど、出なかったから」
電話?
全く気がつかなかった
『ごめんなさい、…何かありました?』
陽介は今日の夜
堂本の関連会社の社長就任パーティーがあるから、遅くなると言っていた
父親である社長と一緒に行くと言っていたから一時帰宅すると思わなかった