政略結婚から助けてくれたのは御曹司様
なんて恐ろしいことを…
黒い部分が前面に出ている陽介
悪びれるわけでもなく、
何か悪いか?当然の言わんばかりの顔だ
『…や…やめる、こんな結婚っ』
外へ出ようとドアへ向かうが
ドレスが邪魔で上手く歩けない
だからすぐ陽介に捕まってしまう
「いいのか?この結婚が無くなれば、確実に赤城は潰れ、君の両親、赤城の社員は路頭に迷う。君、一人の決断で何千人もの社員が職を失い、家族も路頭に迷う」
……っ、
わかっている
それを阻止したくて
陽介を選んだんだ
けど、……けど、
「それでいいなら、かまわないさ。」
そう言って陽介はソファに座り
また笑いながら話し出す
「言ってなかったけど、実は今度ウチで新事業を始めるんだ。ウチもホテル業界に進出しようかと思ってね」
外へ出ようとしていた
ドアノブにかけていた手が止まる
「まぁ、結婚しても赤城はじきに潰れる。潰れたら赤城の社員をうちで面倒見ることだって出来る…が、君が僕との結婚を嫌がっているなら、それも難しいね」
ドアノブを握る手に力がこもる
なんていう人なんだ、
やはり私にはどうする事も出来ない
そして、やはり赤城の社員を捨てることなんて出来ない…